(世界のバグを調べるもうひとりの勇者達)
ト:龍を祀る王国にいたの!?
トゥ:そうだ。
カ:かつて…ってことは何かあって王国を去った…ってことだな。アレだろ?お前の力を利用しようとして争いが起きたからとかだろ?
トゥ:なぜそれを?私がまだ若い龍であった頃だから随分昔の話なのだが。
ハ:カザポンよくわかったね!さすが物知りだな〜!
カ:大したことじゃねぇよ。龍を祀る王国の伝説は有名だからな。
トゥ:後世にまで伝わっていたのか…。
カ:あぁ。お前の力を利用しようとする側とそれを良しとはしない側…争いは醜く激しくなった…そんな人間の姿を見てはいられず、王国に智慧や力を与えていた龍は去っていった…と。
トゥ:…。
カ:そして龍が去ったあと、王国はこのままではいけない、優しい龍に頼りすぎてはいけない、自分達の力で立ち直らねばと奮起し、今では一年中祭りがある楽しそうな国になってるぜ。
トゥ:…そうか。
カ:そして、王族が行う王国が1番大事にしてる祭、それが龍を祀る日だ。龍への謝罪と感謝、そしていつの日にかまた会えることを願っての祭だそうだ。その龍がお前だったんだな。
トゥ:…。
ト:…ツラかったな、自分がきっかけで争いが起こるなんて。
トゥ:…。
ハ:…王国の人達のこと、きっと大好きだったんだね。
トゥ:……………私がまだ若い龍であった頃、敵にやられ傷ついていた私を彼の国の王族が手当てしてくれたのだ。とても気のいい人間だった…。当時、彼の国はまだ小さく、周りの国の脅威に晒されていたぐらいだった…。君主である彼の者はとても…今の言葉で言う天然…という気質だったのだろうな…なにかこう…手助けをせねばという気持ちにさせる者であった…。私は礼に智慧と力を貸した。彼の者に惹かれる者も多く、国は見る見る大きくなっていった…。彼の者はとても喜んでいた…。
ト:…良い人だったんだな。
トゥ:あぁ…彼の者のような人間にはもう、二度と出会えぬであろうな…。
カ:…。
トゥ:だが、私の力を巡り争いは起きた。国が大きくなるにつれ、良からぬ輩も増えた…私は始末しようとしたが、優しい彼の者はそれを望まなかった。彼の者や私も力を尽くしたが争いは止まらず、彼の者は嘆き悲しみ、心労が祟り遂には倒れてしまった…。私は…彼の国を去った…彼の者がいなければ、私が彼の国にいる意味は…ない…。
カ:力なき正義は無力…だな…。
ハ:カザポン…!
カ:事実だ。優しいだけじゃ、救えねぇんだよ。力が無きゃ何もできねぇ、ただの搾取される弱いやつなんだよ!
トゥ:…そう…だな…。
ハ:だからって…そんな言い方…!
ト:う〜ん…あのさ、逆にさ、正義なき力もまた無力ってことだよな!だからさ、正義のあったその人はただ弱いやつなんかじゃないよ!
ハ:トーマ…!
トゥ:…。
ト:その人やトゥルーが去った後、国は立ち直ったんだろ!?優しい人に甘えてばっかじゃダメなんだって!それってさ、優しさや正義が受け継がれてたってことだろ!?だからさ!強いんだよ!
カ:…まぁ、そうとも言えるな…。
ト:へへ!だろ!?
ハ:ふふっ!さすがトーマ!
トゥ:勇者よ…。
ト:ん?
トゥ:…その後の彼の国の話には、後世に語られていない続きがあるのだ。